星を数えて。

ネガティブOL。34歳。

世界は残酷で、甘くないんだよ。と思った話。

もはや皆忘れかけている某大手企業の女性新入社員が過労死した事件の話だが、こういう事件が起こると毎回「労働状況の改善を云々」という一番安全な正義的発言が出てくる。そういうことを言う人たちを見ると、申し訳ないけど「甘い世界で生きてきたんだなぁ」と思う。そしてイライラする。


自分に分かる範囲内で賢い風に正論を語りたいんでしょ?と思う。

 

大体こういうことを言う人は一般職の女性とか新人のまだ若い社会人とか主婦とかそのへん。

 

このニュースを見てすぐに浮かんだ感想は「状況を把握して逃げるというタイミングを失ったのは気の毒だな」「でも弱いものに合わせていったらどんどん世間はダメになっていくものだし、しょうがないよな」だった。


世間って、世界ってそういうものだと思う。

 

能力が低い人に合わせていったらレベルがどんどん下がっていくし、弱いものは無視するしかない。下層にいる人に合わせることは全然正しいことでもなんでもない。ただ、こういうことを言うと非難されるから黙っているだけで、働いている人、いつ蹴落とされてもおかしくないような競争が激しい世界で生きてる人はほぼ全員こう思っているもんだと思う。

 

今回話題となった某企業はきっとその小さな世界の基準が尋常でなく高くて、その異様な厳しさが世間の普通レベルの人、甘々な人にはものすごく残酷に映って、そして話題と非難の的になっただけなんだろう。

 

だって今日もその世界で変わらず働いている人がいるのだから。彼女だってまさかこんな結果になってしまうとまでは予測してなかったにせよその厳しさくらい認識して入社してたと思う。


そういう世界で生きることを選ぶ人、選びたい人だっているわけで、1つの生命が失われたことは非常に悲しいことだとは思うけど、それを表面的なものだけみて某企業はブラックだのクソだのと安易に言う人は何の苦労も知らずに厳しい戦いを切り抜けて高い位置に君臨した大手企業をそれらしくディスって何の中身もない優越感に浸っている人でしかない。

 

私はSE(システムエンジニア)で、OB・OG訪問の質問タイムで「SEは残業が多いイメージなのですがやはり残業はありますか」とかいう質問をほぼ確実に受ける。結論からいうとそんなものはSEの仕事や事情として当たり前だし、残業が嫌ならSE目指すのやめなと心の中で思っている。この質問は「ダイエットしたくないけどモデルになりたいんです」という質問と同じである。

 

あるコミュニティに入ったら、そのコミュニティの常識に合わせる必要があるし、その「常識」というのは世間一般から見てどう見えるかというのはその中に入ってしまえば何の意味も成さない。会社というのはそういうものだと思っている。

 

私の同僚は鬱で1年も仕事をしないうちに会社を退職した。結果を求められることがプレッシャーだった、1日パソコンを前に座りっぱなしという仕事スタイルで気持ちの下降に拍車をかけたとかそんなかんじだったらしい。私は全然同情しなかった。ただ「甘いな」と思った。

 

彼に会社が合わせてくれないのは当たり前だし、そんなことをしたらどんどん会社が堕落する。たぶん、彼が退職したくらいの時期には同期全員「彼が甘いだけ」と思っていたと思う。これを安易に「彼が可哀そうだ」とか言う人は大抵は社会の波にもまれていない類の人間である。

 

結局某企業もそうだっただけだ。業界No1の会社の存り方として当たり前に在り続けただけだ。

 

「郷に入りては郷に従え」という言葉が大きな世界と小さな世界で暗黙の了解として根付いていることを忘れてはならない。

 

世の中を生き抜いていく、仕事で生活を構築していくというのは自分の能力で世間の様々なものと戦っていくこととイコールだと思っている。そのためには能力が必要で、いざとなったら逃げるというのもまた能力なのだと思う。たくさんの小さな世界のうち、安全圏にいることを選択するのも、その世界にちゃっかり身を置いてしまうのもまた能力だ。自分に合った世界を見つけるのもまた能力だ。

 

こんな風に考えてしまう私はきっと社畜気質なんだろうし、結婚も遅いのだろう。(最悪できない。)

 

そんなオチ。

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おいしいごはんは正義だよ。