誰かに好かれたいからと、相手をしてくれる誰かにしがみつく。
定期的にメールして、週末の予定を埋めてくれる誰かがほしい。
それだけなんだろう。
好きかも嫌いかも分からないまま、欲望だけが先行する。
手に入れようと走るのにいつまでも追いつかないような不透明さ。
強く掴もうとしても、あっという間にすり抜けて。
好きってなんだろう。
何してるのかな。
ご飯作ってあげたいな。
映画、一緒に観に行きたいな。
そんな相手なんだろう。
今、目の前にいる相手はそうなのだろうか?
そう思っているのだろうか?
そう思っているような、思っていないような・・・。
曖昧に自分を誤魔化す毎日。
離れていくと、ふと不安になる。
それがこの人を好きなんだという感情にすり替わる。
でも、実際は焦ってるだけ。
好きなんかじゃない。
私のこと、好きでしょ?
そうでしょ?
って実感できないのが不安なだけ。
出会いばかり提供されるのに、誰も選べない。誰からも選ばれない。
いつか出会えると思ってた。
だからできるだけ力を注いでた。
動かなければ誰にも出会えないじゃんっ、って。
でもきっとこの根本的な闇が解決されない限り、同じことの繰り返しなんだ。
混沌とした思いを表すような春がもうすぐ訪れる夜空。
月と星が嘲笑ってる。
生ぬるい、冬と春の香りが混ざった風。
好きかどうかも分からない相手に、今日も私はメールを送る。
※フィクションです。